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このスポットについて
四国八十八箇所の第10番札所、得度山灌頂院切幡寺は、切幡山の中腹(標高155m)にあり、本堂へは三百三十あまりの石段を登ってたどり着きます。参道の石段は333段とも数えられ、「杖無し橋」の名で呼ばれます。
寺名と山号の由来には、弘法大師にまつわる印象深い縁起が伝わっています。修行中の空海が、ほころびた僧衣を繕う布を機織りの娘に乞うと、娘は織りかけの布を惜しまず切って差し出しました。空海はその心根を尊び、娘の願いに応えて父母供養のために千手観音を刻み、娘を得度させて灌頂を授けたといいます。娘は七色の光を放って即身成仏し、千手観音の姿になったと伝わります。のちに嵯峨天皇の勅願で堂が建てられ、空海が刻んだ観音は南向きに、成仏した娘の観音は北向きに安置されました。山号の「得度」、院号の「灌頂」、寺名の「切幡」はこの故事に由来し、「はたきり観音」の名で親しまれています。女性の成仏にまつわる話から、女性の参拝者が多い寺です。
境内の最大の見どころは、国の重要文化財に指定された大塔です。高さ約24mの二重塔で、初層と二層がともに方形をしており、このような形の塔で現存するのは国内でこの塔だけとされます。慶長12年(1607年)、豊臣秀頼が亡き父・秀吉の菩提を弔うために建てた大坂住吉大社の神宮寺・新羅寺の西塔で、廃仏毀釈で神宮寺が廃寺となったのち、明治6年から明治15年にかけて、現在の山腹へ移されました。高台の塔からは、吉野川の平野と焼山寺方面の山並みが望めます。
本堂は拝殿土間・本堂・奥殿が連なる構造で、奥殿には秘仏の千手観世音菩薩が祀られています。境内には大師堂、不動堂、八大龍王堂、奪衣婆堂、鐘楼などが点在し、石段の途中には男厄坂・女厄坂があります。春分の日と秋分の日には、石段の途中にある経木場で経木流しが行われます。往時は二十四の坊を抱える大寺でしたが、天正年間に長宗我部元親の兵火で焼け、明治42年の火災でも大塔のほかを失ったため、現在の伽藍はその後の再建です。2024年には「阿波遍路道 切幡寺境内」が国の史跡に指定されました。
行き方は、JR徳島線の鴨島駅からタクシーで約25分。車では徳島自動車道の土成ICから約7kmで、山門脇の駐車場(約20台)は無料です。上段の駐車場は急坂のため普通車までとなります。宿坊はありません。参拝は、石段の上り下りに加え、大塔まで足を延ばす時間を見ておくと余裕があります。前の第9番法輪寺、後の第11番藤井寺とあわせ、阿波の平野をめぐる遍路の流れで訪れるとよいでしょう。
最終更新日 2026年11月2日
